
『 物ではなく“名入れ品”を贈りるのはなぜか? 』
時間と手間がかかる名入れ品を贈り物に選ばれるお客様には、お渡しする方への大切な想いがあり、その物語を知ることで贈り物の本質を知ることができると考えました。
家族・兄弟・恋人・恩師・同僚・上司・取引先へ
お祝いや目的はそれぞれ違いますが、日々、お客様と接し感じる “想い” について ご紹介してまいります。
贈り物の本質を感じていただき、日本らしい贈り物文化が、これから未来も続いていくことを願っております。

エピソード 1:家族を想う
ウォーターフォードのピクチャーフレームを
ご注文いただきました お客様のお話です。
ご両親が結婚30周年を迎えるのにあたり
娘様が贈り物を探されておりました。
お打ち合わせも順調に進み、名入れ彫刻も終了。
出荷準備に入ろうとしていた時のことです。
お客様から お急ぎの連絡が入りました。
プレゼントを開けた時に、写真が入っていた方が
喜ぶだろうということで
急遽、写真を入れて梱包してほしいとの内容でした。
お届けが遅れてしまう旨も了承いただき
後日、家族旅行とお見受けする竹林を背景に
凛とたたずむ写真をお入れいたしました。
記念のフォントフレームを贈ること
最初から集合写真を入れておきたいということは
お子様たちが それぞれの道を歩まれていたとしても
『ご家族はひとつである』
という想いが伝わってきました。
そして、プレゼントで
喜んでほしいからこそ、打ち合わせの後も
最善の策を考えておられたのだと思います。
プレゼントは開けた瞬間の重要性は
個人差はありますが50~70%占めるという
データもあります。
ドキドキのすべてが詰まっていると
私も思っています。

エピソード 2:恋人を想う
ご結婚式でのサプライズプレゼントを 新婦様から
ご依頼を お受けした時のお話です。
ご結婚式中にお二人の名前とメッセージが
彫刻されたグラスにシャンパンを入れ
会場のスタッフさんが運んでくれるというものでした。

新郎様は グラスをしっかりと確認され
最高の笑顔で乾杯をされております。
新婦様の想いを深く感じておられるご様子で
こちらも思わず笑みがこぼれます。
結婚式前は打ち合わせと仕事の両立で
目の回る忙しさだったと話されていました。
その中でも
サプライズプレゼントを企画する気持ちが
『 新郎様に 驚くくらい喜んでもらいたい 』
という新婦様の想いが伝わってきました。
ご依頼主の新婦様から
ご報告のお写真をいただきましたことに
感謝申し上げます。
また、末永いお幸せを願っております。

エピソード 3:先生(医師)を想う
2015年秋に ご注文をいただきました
お客様のお話です。
お問い合わせからの始まりでしたが
お話をお聞きしますと
お子様がご病気になり
お世話になったお医者様への贈り物に
何か良いものはないかというものでした。
商品をご提案していく中で
病名こそ明かさなかったものの
実は命を救っていただいたお医者様への
大切な贈り物だということが分かりました。
最近、先生にお子様が誕生されたということで
名入れのフォトフレームに決まりました。
とてもプライベートな内容であり
軽々しく踏み入る話ではないことを理解しながらも
お客様のやっとお気持ちが落ち着かれたという言葉に
私も心が救われました。
ご相談からの始まりで、
詳しくお話いただけたことでわかった贈り物の目的。
ご注文いただく贈り物は すべてに意味があり
その大切さや深さを すべて知ることはできません。
でも、感じること。想像すること。で
想いを名入れ彫刻に込めらると考えております。

エピソード 4:母を想う
毎年5月になると感じる 母と子の絆の お話です。
4月後半からの ご注文で目立ってくるのが
“母の日”のプレゼントと思われる名入れ彫刻です。
ご注文フォームには必要事項のみの
入力される場合が多いのですが
ある ご注文の通信欄に
こんな内容の書き込みがありました。
『 初任給で母の日にプレゼントするものです 』
『 子供の時、たくさん迷惑かけたので ・・・』
『 良いモノを 贈りたいので宜しくお願いします』
シャネルのダブルミラーへの名入れ彫刻
『彫刻内容』は上面・下面に それぞれ
− イニシャル『Y』 ・ 『Love』 −
女性のお客様で、ご年齢はわかりませんが
初任給というキーワードと文章の勢いから
年齢を想像いたしました。
長年ネットショップをしていますと
打ち合わせ途中で連絡が途切れてしまう方や
お約束を守れない方々もいらっしゃいます。
このように、贈り物の目的や
お考えを伝えていただけるお客様がいて
その方がお若いことに 頼もしさと喜びを感じました。
女の子から、女子になり
今は立派な女性への成長され、親孝行されます。
新入社員は、会社に慣れるまで研修などがあり
気持ちの余裕も生まれにくいと思いますが
“母の日”というイベントに合わせ
行動できる心と体の強さとを感じました。
これからも親子仲良く 楽しい時間を
お過ごしいただけることを願っております。

エピソード 5:恋人を想う
クリスマスの鈴の音が聞こえてきそうな12月。
名入れのクリスタルボックスを使って
プロポーズをしたいという男性のお話です。
毎年この時期には、
クリスマスプレゼントとして ご利用される
彫刻グラスのご注文が増えます。
その中に
目を引くご注文フォームがありました。
ご注文の商品は、Tiffany&co.の
クリスタルハートボックスです。
(立体のハート型をしており、
彫刻面は上蓋と底面の2面が可能な商品です)
〜 お客様 通信欄 〜
この商品を使ってプロポーズを考えています。
最初はメッセージが 読めないようにして
ふたを開けるとメッセージが 隠れていて
彼女がびっくりするような感じにしたいのですが
可能でしょうか?
なかなか難しい ご要望ですが、
是非とも良い演出を考えて
成功していただきたいという気持ちに
火がついてしまいました。
作戦としましては
①ボックスの中に何かを入れて
底面のプロポーズメッセージが
見えないようにする
②上蓋に目隠しになるようなデザインを
彫刻し、底面のプロポーズメッセージが
見えないようにする
③上蓋にフロスト(擦りガラス加工)系の
デザインを入れ、完全に底面が
見えないようにする
お客様と打ち合わせの結果、
③に決まり、作業に取り掛かりました。
商品は仕上がり
狙っていたように底面のメッセージは見えません。
お客様の元に 無事お届けできたのを
確認できた頃には、
街はカップルで溢れるクリスマスイブと
なっていました。
今の時代
しっかりとプロポーズをしている男性は
どのくらいいるのでしょうか?
自分の想いを伝えるのは
とても勇気が必要で怖さもあることです。
愛する人と次なる未来へ
一歩前へ踏み出すことを決意された
お客様の想いは
本当に素晴らしいものだと思いました。
そして、
ハートのクリスタルボックスに
メッセージを名入れ彫刻するアイディアを考え
実行する彼女への愛の大きさといえるでしょう。
合格発表を待つ受験生のような心境で
年末作業をしていた時のことです。
お客様からのメールが届きました。
〜 ガラスデザインロザリオ様へ 〜
色々とお願いしまして
ありがとうございました。
結婚することになりました!!
今回作ってもらったハートボックスに
二人の名前と日付けを彫刻したいので
そちらに送ります。
1年の締めくくりに最高に
嬉しいメールをいただきました。
こちらこそ ありがとうございました。